ヘルニアは、頸椎や胸椎、仙椎などにも発症しますが、なかでも腰椎に多く発症する傾向があります。

ここでは、

①腰椎椎間板ヘルニアとは

②腰椎椎間板ヘルニアの病態

③腰椎椎間板ヘルニアへの対処

上記、3項目について学びを深めていこうと思います。

①腰椎椎間板ヘルニアとは

腰椎椎間板ヘルニア(Lumbar Disk Herniation※以後、LDHと略す。)は、椎間板の髄核や繊維輪が膨張または脱出することにより、神経根や馬尾神経を圧迫し、病状を引き起こす疾患である。

人口の約1%が罹患すると言われており、20~30代の男性に多く、重労働や喫煙が発症要因として挙げられる。だが、最近ではスポーツにおける過度な練習やストレッチ不足、ゲームやスマホの使用により背骨がゆがみ若年層にも多く発症することが報告されている。また、遺伝的な要因の関与も報告されており、特に若年層ではその傾向が強い。

②腰椎椎間板ヘルニアの病態

椎間板の加齢変化による髄核の水分減少(変性)が基盤となり、腰椎の運動(特に屈曲と回旋の組み合わせ)などに伴って椎間板に捻れが加わり、周囲の繊維輪に微細損傷を引き起こす。

脆弱となった部分から突出したヘルニアが神経根や馬尾神経を圧迫することにより神経症状を誘発する。

主に、下肢に放散する痛み、感覚障害、痺れ、筋力低下、深部腱反射の消失などの神経根症状が認められる。多くは片側の症状であるが、両側に症状が認められる場合もある。背中を丸めた椅子座位や前屈位で症状が誘発され、立位や臥位で症状は軽減する。急性受傷した場合は、安静時にも激しい痛みを生じるが徐々に軽減されることが多い。

ヘルニア高位神経障害筋力低下感覚障害深部腱反射
L3/L4L4大腿四頭筋下腿内側膝蓋腱(-)
L4/L5L5前脛骨筋下腿外側~母趾障害なし
L5/S1S1下腿三頭筋小趾~足底外側アキレス腱(-)

③腰椎椎間板ヘルニアへの対処

まずは、クライアントに聞いてみましょう。

①痛みの強さ、性質、頻度、時間、痛みの誘発、軽減因子など

②痺れ、脱力感、異常感覚などの有無

③職業(内容、労働量、現在の就業状況)スポーツなど

次に、スペシャルテストの実施

①下肢伸展挙上テスト(SLRT)

②大腿神経伸張テスト(FNST)

③梨状筋テスト(フライバーグテスト、Kボンネットテスト)

①下肢伸展挙上テスト(SLRT:Straight Leg Raising Test)

LDH(L4/L5,L5/S1)において有効なテストとされている。クライアントを背臥位とし、患肢を他動的に挙上してゆき、70°以下で下肢に放散する痛みが誘発されれば陽性とする。

②大腿神経伸張テスト(FNST)

L2/3およびL3/L4のLDHの検査に用いられる。クライアントを背臥位とし、股関節を伸展しながら膝を他動的に屈曲させる。大腿前面に痛みが出現する場合を陽性とする。

③梨状筋テスト(フライバーグテスト、Kボンネットテスト)

梨状筋症候群による下肢の痛みを識別するために用いられる。


フライバーグテスト:クライアントを背臥位とし、患肢の股関節を屈曲・内旋させる。この際、臀部周囲に痛みが誘発されれば陽性。
Kボンネットテスト:クライアントを側臥位とし、患肢を上側にする。股関節を60°屈曲位から股関節を内転させていく。内転した際に、下腿後面に痺れや痛みが誘発されれば陽性。

用語説明

〇椎間板・・・背骨(脊椎)の椎骨をつなぐクッションの役割がある

〇椎間板の構造・・・繊維輪と髄核で構成されている

〇繊維輪・・・バームクーヘン状の丈夫な膜で、椎間板の外側を覆っているコラーゲン組織

〇髄核・・・ゼリー状の軟骨組織で、椎間板の中央部にある。水分を引き込むことで弾力性を保っている

〇椎間板の膨隆・・・椎間板が膨らんでいる状態。神経には触れていない

〇深部腱反射・・・太い骨格筋に繫がる腱を叩いた時に起こる筋肉の収縮反応。(上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射、膝蓋腱反射、アキレス腱反射)

〇放散する痛み・・・広がるような痛み

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